キャンプや車中泊で食材や飲み物を運ぶ際、絶対必要になるクーラーボックス。
年々、春夏の気温が上がっていることに伴って、購入される方も多くなっています。
でも選ぶ際に「どのサイズを選べばいいかわからない」「保冷力が高ければいいの?」など、悩む方も多いのではないでしょうか。
自分のスタイルに合った「クーラーボックスの選び方」を知れば、キャンプの質は劇的に上がります。
ここではクーラーボックスを選ぶ基準についてお伝えいたします。
目次
1.まずはここをチェック!スペック表の「見方」と「比較」のコツ
クーラーボックスを選ぶ際に基準にしたいのが「スペック(仕様・性能)」です。
断熱材の種類や、保冷力の目安のほか、本体サイズなども記載されています。
まずはこの「スペック表」を確認してみましょう。
「見方」と「比較」のコツをお伝えいたします。
1-1.断熱材の違いの「見方」
クーラーボックスの「保冷力」は、断熱材で決まると言っても過言ではありません。
クーラーボックスに使用されている断熱材は、おもに発泡スチロール、発泡ウレタン、真空断熱パネルに分類されます。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
①発泡スチロール
発泡スチロールのクーラーボックスには2種類あります。
1つ目が、魚屋さんで見るような、本体そのものが発泡スチロールになっているもの。
2つ目が、安価なプラスチック製クーラーボックスの内部に、板状の発泡スチロールが入っているタイプです。
どちらも軽量で安価ですが、空気の層が粗いため熱を通しやすく、保冷力は限定的です。
キャンプや炎天下のBBQなど、過酷な環境には不向きといえます。
お買い物用やピクニック用、スポーツ観戦用など、短時間使用と割り切ったほうが良いでしょう。
②発泡ウレタン
多くのクーラーボックスに採用されている、最も一般的なタイプの断熱材です。
加工もしやすいため、さまざまな形状やデザインの物が選べます。
発泡ウレタンはポリウレタン樹脂を発泡させて作られていて、中に無数の気泡(空気)を含んでいます。
『空気はトップレベルに熱を伝えにくい断熱物質』と言われています。
この空気をたくさん含むため、その分断熱性能も高くなるというわけです。

▲Hilanderの「ハイランドクーラーボックス」の断面図。発泡ウレタンがぎっしり詰まっており、分厚い。
分厚くなればなるほど、断熱性能は高くなり、連泊にも耐えられるぐらいの保冷力があります。
ただしその分、樹脂の量が増え重量も重くなる点は注意が必要です。
③真空断熱パネル
真空断熱パネルは、保冷性が最も高い断熱材です。
先程お伝えしたとおり『空気はトップレベルに熱を伝えにくい断熱物質』です。
真空断熱パネルは、断熱材の周囲を真空状態にし、気体による伝熱を限りなくゼロに近づけています。
それにより、厚みが薄くても高い断熱性を持っています。
長期間のキャンプや炎天下でのBBQなど、保冷力重視の場合に選びたい断熱材です。
ただし、価格が高いのがデメリット。
また真空パネル部分は衝撃に弱く、破損すると保冷機能が大きく低下してしまいます。
1-2.保冷力の目安の「見方」
クーラーボックス選びの際に目安になるのが「保冷力」。
クーラーボックスは、食材や飲み物を冷やしておくためのものですから、使用期間にあわせた保冷力が必要です。
使用時間や滞在日数がどれぐらいかを考えて選びましょう。
①お買い物やスポーツ観戦(屋内)など短時間の場合
2~4時間程度のお出かけの場合は、お買い物用のアルミソフトクーラーや、発泡スチロールクーラーで十分です。
持ち運びやすい軽さを基準に選ぶと良いでしょう。
②デイキャンプ、BBQ、スポーツ観戦(屋外)、一泊キャンプなど
直射日光を浴びる野外は、外気温も高め。
外気は思う以上に保冷力に影響を与えますので、少し保冷力が高めの発泡ウレタンのクーラーボックスが良いでしょう。
こちらも使用時間に合わせて選びます。
屋外でのスポーツ観戦であれば、薄めのトートバッグタイプのソフトクーラーでもOK。
デイキャンプやBBQなど、スポーツ観戦より長時間使用で、ソフトクーラーを選ぶのであれば断熱材が分厚いアウトドア用のものを選びましょう。
断熱材が分厚い物なら一泊二日のキャンプでも十分対応可能です。
保冷力が気になる場合は、ハードクーラーボックスを選びましょう。
③連泊キャンプ、災害対策用
連日使用するなら、断熱材が分厚いタイプの発泡ウレタンのハードクーラーボックスや、真空断熱素材がおすすめ。
保冷力が高ければ、災害時や停電時の臨時冷蔵庫としても使用可能です。
1-3.保冷力〇日はどれぐらい信用できるの?
最近では保冷力の高いクーラーボックスがたくさん出ています。
実際のところ、保冷力〇日と書かれているものは、どれぐらい信用ができるのでしょうか?
まずは「試験内容」をチェックしてみましょう。
例として、Hilanderの『ハイランドクーラーボックス』は「最大氷保持期間4日間」です。

これは容量比40%の氷をクーラーボックスに入れ、20-26℃の室内で測定し、氷が溶けきるまでの時間を算出しています。
この状態で、4日後まで氷が残っていたため最大4日間の保冷効果があるということです。
しかし、スペック表にある「氷保持期間」は、フタの開け閉めなどをせず、一定の室内環境で測定された「理論上の最大値」です。
実際のキャンプでは、外的要因により、この性能を最大限発揮することができません。
まず、クーラーボックスは直射日光を浴びると外側が熱を持ってしまい、内部にもその熱が伝わってしまいます。
さらにクーラーボックスは外気温の影響を非常に受けやすくなっています。
30度以上を超える真夏日や35度以上の猛暑日であれば、保冷可能な期間はもう少し短くなると見た方が良いでしょう。
そして、クーラーボックスは開けた時に中の冷気が逃げてしまいます。
そのため、頻繁に開け閉めすると保冷力は落ちてしまいます。
食品が冷え切っていない状態で入れてしまうことでも、保冷力は低下します。
実際に使用する際は、直射日光による熱伝導や、外気温、開閉時に逃げる冷気など、保冷力を低下させる外部要因は避けられません。
特に猛暑日の使用や、飲み物を追加で入れたりする場合は、保冷可能な期間はより短くなる傾向にあります。
実用的な保冷力の目安としては、スペック値の7割程度を見込んでおくと安心です。
この「余裕」を持っておくことが、最後まで冷たい飲み物を楽しむための大切なポイントになります。
1-4.そのほかの「比較」のコツ
使用されている断熱材や保冷力の他に、サイズなどもチェックしておきましょう。
クーラーボックスはキャンプ道具の中でも大きい部類に入ります。
高い保冷力の物は、その分断熱材も厚くなり、サイズも大きくなります。
スペック表の「内容量(〇L)」だけで選んでしまうと、思った以上に外寸が大きくなることもあります。
キャンプ場へ行く途中で買い出しをするような場合は、クーラーボックスはトランクの手前に配置しなくてはなりません。
外寸が大きいと、トランクの高さに合わず手前に置けなくなる可能性があります。
外寸サイズもきっちりチェックしておいて、トランクに積み込む余裕があるか見ておきましょう。
またマンション住まいで収納が限られている場合、ハードクーラーボックスだと家の中で邪魔に感じるかもしれません。
その場合は保冷力を少し妥協してでも「折りたたみ可能な高機能ソフトクーラー」を選んだ方がいいでしょう。
断熱性能や保冷力だけで判断せず、総合的に考えるようにしましょう。
2.ハード vs ソフト:どっちを選ぶのが正解?
実際にクーラーボックスを買うなら、ハードかソフトか、どちらのクーラーボックスを選べば良いか迷いますよね。
それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
2-1.ハードクーラー
クーラーボックスといえばこのタイプを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
箱状でしっかりした素材で、上に荷物を積み重ねることも、製品によっては上に座ることもできるぐらい頑丈です。
密閉性、保冷性に優れているため、クーラー内の冷たさを長時間キープできます。
デメリットは、重くてかさばってしまうこと。
収納スペースが限られるマンション住まいの場合は、置き場所を考える必要があります。
2-2.ソフトクーラー
ソフトクーラーは軽くて、畳んでコンパクトに収納することができます。
一方で、ハードクーラーほどの密閉性や保冷力が無いのがデメリット。
ただし短時間の使用であれば十分な保冷性があり、最近では保冷力が48時間ある物も売られています。
ソフトクーラーを選ぶ場合は、使用目的に合わせて選ぶといいでしょう。
お買い物用ならアルミソフトクーラーでも問題ありません。
日帰りレジャーやサブクーラー、一泊二日のキャンプなら断熱材が発泡ウレタンのものを選びましょう。
2-3.比較表
より分かりやすいよう、比較表をご用意いたしました。
| タイプ | ハードクーラーボックス | ソフトクーラーボックス |
| 保冷力 | ★★★ | ★★☆ ※断熱材による |
| 密閉性 | ★★★ | ★★☆ |
| 頑丈さ | ★★★ ※真空断熱パネルは衝撃に要注意 |
★☆☆ |
| 軽さ | ★☆☆ | ★★★ |
| 収納性 | ★☆☆ | ★★★ |
保冷力を重視するならハードクーラー、軽さや収納性を重視するならソフトクーラーになります。
ただし収納スペースが限られている場合は、先ほどもお伝えしたとおり、保冷力を少し妥協してでも「高機能ソフトクーラー」を選びましょう。
3. 【人数・宿泊期間別】失敗しない「容量」の選び方
クーラーボックスの「容量」を選ぶときは、人数を基準にします。
計算の目安は、一般的に「1人1日=10〜15L」が適正と言われています。
具体的には以下の通りです。
・ソロ、デュオでの一泊:20L~30L
・ファミリー(3~4人)での一泊:35~50L
『大は小を兼ねる』と大きなものを選ばれる方もいますが、クーラーボックスに関しては間違いです。
大きすぎると空間も多くなり、開け閉めのたびにクーラーボックス内の冷気が外に逃げやすくなり、保冷力の低下を招きます。
隙間に保冷剤や氷を入れるなどの手間が発生しますので、かならず人数と日数に合わせましょう。
人数が5人以上になる場合は、飲み物の出し入れ回数も多くなります。
50L以上の大型クーラーに加えて飲料専用のサブクーラーを用意しましょう。
食材用のクーラーの開閉回数を減らせるため、結果的に保冷効率も良くなります。
4.知っておきたい「保冷力」を持続させるテクニック
クーラーボックスは「正しい使い方」をすれば保冷力が持続します。
ここでは、現場で役立つテクニックを紹介します。
4-1.予冷しておく
クーラーボックスを使う前に、中を冷やしておきましょう。
キャンプに行く前日の夜から保冷剤や氷を入れておき、ボックス内部の温度を下げておきます。
また、食材もクーラーボックスに入れる前に、しっかり冷やしてから、出発直前に入れるのがおすすめです。
特に夏場は、予冷の有無で保冷時間に大きな差が出ます。絶対やっておきましょう。
4-2.隙間を埋める
空間があると、開け閉めのたびにクーラーボックス内の冷気が外に逃げて、暖かい空気がその空間に入ります。
食材同士が冷やしあうように隙間が空かないように詰めましょう。
どうしても隙間ができてしまうなら、保冷剤や氷で埋めてしまいましょう。
4-3.保冷剤の置き方を工夫する
冷たい空気は上から下に伝わるので、保冷剤は食材の上に配置するのが最も効果的。
側面や底面にも保冷剤を置いて「サンドイッチ」状態にすると、さらに保冷効果が上がります。
4-4.直射日光と高温の場所を避ける
どんなに性能の高いクーラーボックスでも、直射日光を受け続けると、クーラーボックス自体が熱を持ちます。
保冷力が持続できなくなるため、テントの中やタープの下など日陰に置くようにしましょう。
また、車内が暑い状態でトランクに積むのはやめましょう。
車内が十分涼しくなってから積み込みましょう。
4-5.地面に直置きしない
直置きしてしまうと地熱の影響を受けて、クーラーボックス内の温度もあがります。
クーラースタンド等を活用して、クーラーボックスの底面が直接地面につかないようにしましょう。


4-6.開け閉めは最低限に
何度も開け閉めすると、クーラーボックス内の冷気が逃げます。
中の物を取り出すときは、使う分をまとめて出しましょう。
詳しくは以下の記事も参考にしてください。
もう失敗しない!クーラーボックスの保冷力を最大限引き出す方法
5.長持ちさせるための「保管」とメンテナンス
クーラーボックスはキャンプ用品の中でも高価な部類です。
せっかく購入したクーラーボックスを長持ちさせるためにも、定期的にメンテナンスしましょう。
5-1.帰宅後はかならず洗おう
クーラーボックスを使った後そのまま放置してしまうと、中に雑菌が繁殖し、嫌なにおいのもとになります。
帰宅したらすぐに内部を洗うようにしましょう。
手順は以下の通りです。
①中性洗剤、スポンジ、ブラシ、重曹水スプレーを用意します。
※重曹水スプレーは、100円均一ショップで購入できます。
※重曹水を自作する場合は水:500mlに、重曹:大さじ1を入れてください。
②水抜栓があるものは外して、全体を良く濡らして大まかに汚れや砂などを洗い流します。
軽く汚れが落ちたら中性洗剤で優しく洗い、その後しっかり水できれいにすすぎましょう。
③スポンジに水と中性洗剤を含ませて表面や中をやさしく洗います。
滑り止めのゴムは、汚れが付きやすいのでブラシでこすります。
汚れが十分に落ちたら水で洗剤を流し、タオルで全体の水滴を拭き取りましょう。
④風通しの良い日陰でしっかり乾燥させます。
水抜栓ははずしたままにしましょう。
フタと本体が分かれるモデルは、外して乾燥させてください。
⑤クーラーボックスが乾いたら、重曹水スプレーをかけて防臭加工をします。
重曹水が乾いたら、お手入れ完了です。
5-2.においが落ちなかった時の対処方法
肉汁や魚など、洗浄や重曹水でも落としきれない強いにおいがついてしまった場合は、クエン酸スプレーを使ってみましょう。
魚の生臭みの原因物質の一つは、トリメチルアミンというアルカリ性物質です。
酸性のスプレーが、アルカリ性物質を中和します。
また、魚や肉に含まれる金属イオンは、脂質の酸化を促進し、時間経過とともに不快なにおいが増してしまいます。
クエン酸には、金属イオンを捕捉する効果(キレート効果)があります。
金属イオンの働きを阻害して酸化を抑えるため、においも抑えられます。
クエン酸スプレーは100円均一ショップで購入可能ですので、ぜひ試してみてください。
5-3.直射日光と高温多湿を避けて保管する
クーラーボックスは、直射日光が当たらない場所で保管しましょう。
日光の紫外線は素材の劣化を促進させます。
外観の色あせやヒビ割れ、表面の剥がれといった問題が発生するので、日陰で保管します。
屋内でも窓際は日差しが入ることがあるため、窓際も避けましょう。
高温多湿の場所も避けましょう。
高温も、外観のひび割れや内部の断熱性能の低下といった問題の原因になります。
湿気の多い場所もカビが発生して、クーラーボックス内に嫌なにおいが付着します。
風通しが良く、温度と湿度が安定した場所に保管しましょう。
面倒だからと言って、車の中に放置したままにするのは絶対にやめましょう。
5-4.パッキンやヒンジの劣化チェックをする
ゴムパッキンが硬化していたり、ひび割れしていないか確認しましょう。
パッキンにひび割れがある場合は、交換が必要です。
また、ヒンジが緩んでいないかも確認しましょう。
緩んでいたら、しっかりネジを締めておきましょう。
まとめ:最高の相棒を見つけよう
クーラーボックスは使用目的や人数に合わせて選べば、キャンプやアウトドアの最高の相棒になります。
使用目的やキャンプでの宿泊日数にあわせて、断熱材(ウレタンや真空パネル)を選ぶようにしましょう。
容量は、1人1日10〜15Lが目安です。
「車に積めるか」「家のどこに置くか」という物理的なサイズ感もしっかり検討しましょう。
また、使った後はしっかりメンテナンスすることで、大事な相棒を長持ちさせることができます。
あなたのキャンプスタイルにピタッとハマる一台をぜひ見つけてください。
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