キャンプにも慣れてきたし、もう少し上級者向けの楽しみ方や、ワイルドなキャンプにもチャレンジしてみたい。
高機能なギアも良いけど、もっと自然を身近に感じてみたい。
そんな方に近年人気なのが「ブッシュクラフト」と呼ばれるアウトドアスタイルです。
でも「ブッシュクラフトに憧れはあるけど、何から始めたらいいかわからない」という方も多いのではないでしょうか。
そんなブッシュクラフト初心者の方に向けて、ブッシュクラフトの概要や必要なアイテムと、注意点などをご紹介します。
フェザースティック作りや火起こしなど、不便をあえて楽しむ方法を身につけて、ワンランク上のキャンプを楽しみましょう。
1.ブッシュクラフトとは?

ブッシュクラフトとは、その名の通り「bush ブッシュ(茂み・ヤブ)」で「craft クラフト(作る)」することを言います。
ナイフなどの最低限のギアと、自然の恵みや自分の技術を駆使して便利なアイテムを作り、火を起こし、生活する。
それが「ブッシュクラフト」です。
便利なアウトドア用のアイテムはできるだけ持ち込まずに、不便さも楽しむことがブッシュクラフトの醍醐味です。
上級者の方は、お鍋をつるすトライポットやランタンスタンド、タープポールまで木片や小枝で自作しています。
ワイルドでカッコいいですが、ちょっとハードルが高そうに見えますよね。
でも、そこまで難しく考える必要はありません。
ナイフ一本でフェザースティックやペグ、お箸などの簡単なものを『工作』できれば、それが「ブッシュクラフト」の始まりです。
そう考えたら、少しハードルが下がる気がしませんか?
2.ブッシュクラフトとサバイバルとの違い

「自然の中にあるもので生きる」と聞くと、サバイバルをイメージする方も多いのではないでしょうか。
「ブッシュクラフト」と「サバイバル」はよく混同されますが、厳密には異なります。
「サバイバル」は危機的状況を乗り切って、生き残ることを意味しています。
対して「ブッシュクラフト」は、自然を使って生活を楽しむことです。
目的が「生還」と「楽しみ・趣味」である点で、大きく意味が異なります。
ブッシュクラフトのテクニックは、ナイフ一本で色んなものを作り出せるため、確かにサバイバルにも役立ちます。
しかしそれは「ブッシュクラフト」の目的とは異なり、一つの側面でしかありません。
先述の通り、ブッシュクラフトは「自然の中で生活するための知恵」です。
一時の災難を乗り切るためのものではありません。
自然の中にある物を利用して、不自然な環境を自らの知恵で快適なものに変えていく過程を楽しむのが、ブッシュクラフトなのです。
3.【実践!】ブッシュクラフトの「始め方」

それでは、ブッシュクラフトを始めてみましょう!
…といっても、いきなり最低限の装備で山や森に入っていくのはハードルが高すぎます。
最初にお伝えしたとおり、ナイフ一本で自然にあるものから何かを作れたら「ブッシュクラフト」です。
そこで今回は、ナイフ1本から始められる簡単なブッシュクラフトをご紹介します。
ブッシュクラフトの基本である「バトニング」と「フェザースティック作り」です。
薪さえあれば、オートキャンプ場でもチャレンジ可能です。
さらに自然豊かなサイトなら、枯れ枝などの素材が豊富ですから、十分ブッシュクラフトを楽しめます。
なお、現地にある物を利用する場合、生木を使うのはNG。
落ちている乾いた枝を拾って、自然環境に気を使いながらキャンプ場のルールの中で楽しみましょう。
3-1.用意するもの
用意するものは、以下の通りです。
①ナイフ
②手袋(グローブ)
③薪割り台(必須ではありません)
④ナイフを叩くための棒(薪でOK)
⑤薪(針葉樹)
①ナイフ
ナイフは高価なものを用意する必要はありませんが、種類はきちんと選びましょう。
ブッシュクラフトに適しているのは「シースナイフ」という鞘付きのナイフです。
折りたたむタイプ(フォールディングナイフ)だと、薪を割るときに、刃と持ち手の連結部分が取れてしまう可能性も。
こちらは細かい工作用や、ロープを切る時などに使いましょう。
また、シースナイフの中でも「フルタングナイフ」を選びましょう。
フルタングナイフとは、ブレードの金属素材が持ち手の末端まで一体化しているナイフのことです。
普通のナイフよりも強固なので、バトニングの様な荒い使い方にも耐えられます。
また、刃の長さと厚みも重要です。
薪の太さよりも長い刃を持つナイフが必要になりますので、最低でも刃が10cmほどあるモデルを選びましょう。
ナイフを棒で叩いていくことになるので、頑丈さも備えている必要があります。
刃が折れると怪我につながることもあるので、厚さ2.5mm~3mm以上のナイフを選びましょう。
②手袋(グローブ)
刃物を扱いますので、手を保護する手袋(クローブ)はかならず着用しましょう。
保護性能が高い本革製のものが最適です。
指が動かしやすい、柔らかいものを選びましょう。
③薪割り台
薪割り台は、薪を割るときに薪の下に置く台のことです。
薪が安定し、ナイフの刃先を受け止めてくれます。
また地面が柔らかい時でも力が分散せず、安定してバトニングができます。
必須ではないものの、作業効率が上がりバトニングがしやすくなります。
④ナイフを叩くための棒
「バトニング棒」などの名前で市販されている道具も人気ですが、握りやすいサイズの薪で十分です。
※Hilanderの女性スタッフも薪でバトニングしています。
⑤薪(針葉樹)
スギなどの「針葉樹」の方が削りやすく火付が良いため、フェザースティックに適しています。
薪を買う場合も、拾う場合も、針葉樹を選びましょう。
3-2.バトニングのやり方
まずは、材料となる薪の下準備から始めます。
フェザースティックに必要な太さの薪を手に入れるために、バトニングから行いましょう。
バトニングで人差し指ほどの太さの、小割の薪を作っていきます。
薪が太いと割りにくくなりますので、刃の長さの3分の2程度におさまる程度の太さを選びましょう。
①周りに人がいない、安全に作業できる環境を確保する
刃物で周囲に不安感を与えないよう、周りに人がいない場所を確保しましょう。
子供がいる場合は、バトニングの最中に手を出さないよう、特に注意が必要です。
また、薪を安定した状態で立てられる、平らで固い場所を見つけましょう。
地面が柔らかいとナイフを棒で叩いたときに地面が衝撃を吸収してしまい薪が沈み込んでしまいます。
地面が柔らかい場合は、薪割り台を利用するか、切り株や平らで大きい石などを探して薪割り代替わりにしてみましょう。
※石を利用する場合は、ナイフをぶつけて刃こぼれしないよう注意が必要です。
②薪を地面または薪割り台に立て、上から刃を当てる
薪を地面か薪割り台に立てて、その上にナイフの刃の根元付近を当てます。
木目を観察し、なるべく木の目に逆らわないよう刃を当てましょう。
薪がグラグラしていると、怪我のリスクが高まりますので、安定した状態をキープできる向きを探しましょう。
刃で薪をしっかり押さえたら、刃の背を棒で軽く叩いて薪に食い込ませましょう。
③刃の背を棒や薪で細かく叩く

薪に当てた刃を棒で叩いて、薪を割っていきます。
コツコツと細かく叩き、ちょうど割れるくらいの力加減を探りながら叩きましょう。
はじめから強い力で打ちつける必要はありません。
また、刃を斜めにすると、力が加わりにくくなります。
刃が平行になっていれば、自然な力で叩けるので、意識するようにしましょう。
最初のうちは薪に食い込んでいる部分の真上あたりを叩きます。
ナイフの刃が背まで食い込んだら、薪から飛び出している部分を叩きます。
④最後は手の力で割る
最後までナイフで割ると、地面や薪割り台に刃をぶつけて損傷させる可能性があります。
そのため、残り数センチの部分まで来たら、いったん止めましょう。
両手で薪の割れ目を開くか、ナイフを軽くひねって“てこの原理”を利用することで割れます。
ナイフの刃で無理にこじると、ナイフが損傷する可能性があるため、やめましょう。
3-3.フェザースティックの作り方

「フェザースティック」とは、小割にした薪の表面を薄く長く削って作る火口や焚き付けのことです。
薄く削れば削るほど木材が自然とカールします。
何重にもすることで空気の層ができるため、火口としての役割が生まれます。
また、うまく削れなくて削り落としてしまった木くずでも、立派な火口として使えます。
メタルマッチなどで火の粉を飛ばして着火できるほど火付きが良く、着火剤がなくても楽に火を起こせます。
確実に着火させるために、複数本作っておきましょう。
多めに5〜6本用意しておくと安心です。
1本は火種を作る用にして、残りは焚き付けの燃料にしましょう。
①小割にした薪を削る
薪の中間あたりからナイフの刃を寝かせるように当て、そのまま真っすぐ刃を地面と平行の角度のままスライドさせます。
この時、木材の角に刃を当てて削りましょう。
こうすると比較的楽に、細く薄く削ることができます。

力んでしまうとナイフがスムーズに滑らないため、親指と人差し指だけに力を入れます。
他の指は添える程度の力で大丈夫です。
手前から奥へ、滑らせるように薄く削りましょう。
薄く削れば削るほど自然と表面がくるくる巻かれ、火の粉が絡みやすくなります。
②木を回して角を探しながら削り続ける
木を回しながら角を探し、刃を寝かせながら削っていきます。
同じ箇所を削り続けないようにしましょう。
これを繰り返していくことで、フェザースティックが出来上がります。
3-4.フェザースティックを使って火起こしする
出来上がったフェザースティックを使って、着火剤を使用せず火起こしをしてみましょう。
初めのうちは、メタルマッチやファイヤースターターを使って火起こしをするのは難易度が高いです。
まずはライターなどを使用して火起こしを試してみてください。
慣れてきたら、メタルマッチやファイヤースターターで、フェザースティックに着火してみてください。
ほぐした麻ひもをフェザースティックにしっかり絡ませておくと成功率も上がります。
①焚き火台に焚き付け用のフェザースティックと小割にした薪を置く
作ったフェザースティックを1本残しておき、小割にした薪と一緒に組みます。
1本は火口(火付け)に使います。
②ほぐした麻ひもやコットンを用意する
ナイフで麻ひもやコットンをほぐし、火口(火付け)用によけておいたフェザースティックの羽部分に絡ませます。
③麻ひも、またはコットンに火を点ける
フェザースティックに絡ませた麻ひもやコットンに火を点けます。
④フェザースティックの羽部分全体に火を回す
フェザースティックを手に持ち、フェザースティックの羽部分全体に火が回るようにします。
⑤焚き火台に火種のついたフェザースティックを投入する
焚き火台に、先ほどの火種のついたフェザースティックを投入します。
火種のついたフェザースティックは、組んでおいた焚きつけの一番下に潜り込ませるように差し込みましょう。
下から上に効率よく炎が上がります。
⑥焚き火を育てる
十分に火が安定してきたら、太い薪を1本置き、その周りに細い薪を立てかけておきましょう。
炎が安定して、火が育ちやすくなります。
まとめ:あえて「不便を楽しむ」のがブッシュクラフト
ブッシュクラフトは「不便を楽しむ技術」であり、知恵と工夫でキャンプを楽しむことです。
いきなり難しいことを始めなくてもかまいません。
まずはナイフ一本で、バトニングとフェザースティック作りから始めてみましょう。
着火剤無しで火起こしするだけでも、十分達成感が味わえますよ。
慣れてきたら、メタルマッチやファイヤースターターでの火起こしもチャレンジしてみましょう。
ハードルを少しずつあげて、いろんな物を作ってみてくださいね。

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